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耐食性は、めっき皮膜の最も重要な性質の一つであります。めっき皮膜の耐食性を評価するためには、めっきされた製品を、実際に使用される環境に暴露して、その耐食性を評価するのが最も良い方法であります。

実環境への暴露試験としては、JISにて「屋外暴露試験法通則」が規程されております。水中、液中で使用される製品については、使用環境である液中への浸漬試験も行われます。しかし、実地での暴露試験になりますと、結果を得るまでには長時間を要するだけでなく、必ずしも再現性がよくないという問題点が生じます。そこで、めっき品の経時変化のシミュレーションを短時間で行う為の腐食促進試験が開発され、各種規格に制定・運用されております。

腐食促進試験を分類すると以下のようになります。

①単一条件の腐食液噴霧ないし浸漬試験

②単一条件の雰囲気試験

③複合サイクル試験

上記のうち、噴霧試験について以下の3種類を紹介します。

(1)中性塩水噴霧試験(単純に塩水噴霧試験と称されることが多い。)・・・当社の場合にも塩水噴霧試験で製品検査することがありますが、鉄素材に直接被覆したクロムめっき品に対する塩水噴霧試験は、どちらかと言えば皮膜欠陥、例えばピンホール検出試験(厳密には多孔性試験と称します。)のようなところがあります。しかし、塩水噴霧試験を実機に適用できないことの方が多く、また破壊試験になってしまいます。その他、ピンホール試験として当社でよく行なう簡便な試験法として、フェロキシル試験があります。これは主として、鉄鋼材料の表面に被覆したクロムめっきに対するピンホール試験であり、ピンホールが皮膜に存在するとろ紙に青い斑点が発現します。

(2)酢酸酸性塩水噴霧試験・・・塩水噴霧試験よりもやや過酷な腐食促進試験であります。
(3)キャス(CASS】試験・・・・(2)の試験液にさらに塩化第二銅を加えたより過酷な促進試験であります。