製品属性(仕様)
付加 特性 | 耐クラック性 | 表面 処理 | Co系合金 |
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業界 | 製鉄 | サイズ 重量 | 200㎜~2000㎜ x 700㎜~900㎜ |
加工 サービス | 母材 | 銅 |
製品画像(様子)
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特徴
鉄鋼用連続鋳造用鋳型(モールド)の表面処理には、現在、Co系合金めっきが主に使用されている。Co系合金めっきは高温での耐摩耗性に優れており、この皮膜の開発によりモールドの寿命は飛躍的に向上した。
鋳片の品質向上を高めるための電磁攪拌が採用されたことで、モールド上部(メニスカス部近傍)の熱衝撃は更に激しくなり、ヒートクラックが大きな問題となってきた。ヒートクラックは、表面保護のめっき皮膜にダメージを与え、めっき皮膜の剥離を引き起こす。このため、激しい熱影響に耐えることのできる高温伸び特性に優れためっき皮膜の開発が強く望まれていた。従来のCo系合金めっきは,六方細密充填の結晶構造を有し,結晶内のすべり面の数が限られているため,塑性変形しにくい特徴がある。我々は、合金組成が規則的に変化した積層Co合金めっき皮膜を開発し,この構造を取ることで,従来のCo系合金めっきより非常に優れた伸び特性を示すことを確認した。
従来からも積層構造をもった皮膜の研究例や特許例は見られる。その例としては、複数のめっき槽を用いて単金属を交互に繰り返し積層させる方法等があるが、製造工程が複雑で実用化が不可能な状態にある。我々が開発したこの皮膜は、単一のめっき浴でめっき条件を変化させるだけで、ある組成変化と数十μmレベルの積層構造を持った皮膜の作製に成功している。
この耐クラック性に優れたCo系合金めっきがTAP-Ⅱeである。この皮膜の最大の特徴は優れた伸び特性にあり、従来のCo系合金めっきが約3%であるのに対し、TAP-Ⅱeは15%まで向上している。モールドでの実績も多数ありクラック対策に貢献している。また、特殊な積層構造は任意に構成を変化させることができ、積層構造を変化させることにより強度や伸び特性をさらに向上させることも可能である。