Before (改善前)

樹脂を成型する手段として、金型を使用して冷却する方法があります。金型に微細な彫刻などが施されている場合、金型の冷却効率が良すぎる(急冷却される)と樹脂が彫刻の内部に入り込む前に固まってしまい、必要とする転写が得られない場合があります。
冷却効率を下げる(緩冷却)条件として、①冷却水の条件、➁金型の構造、そして③金型の表面処理の種類、などがあげられます。熱伝導率は金属それぞれ固有の数値を持っているため、金型の冷却効率を下げるためには「熱伝導率が低い表面処理」を選定する必要があります。

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After (改善後)

熱伝導率は物質それぞれが固有な値を持っています。今回ご紹介するのは彫刻加工性にも優れ、なおかつ熱伝導率が低い「快削くん」という表面処理です。表面処理のジャンルとしては「電気めっき」であり、金属の種類は「ニッケル系」です。 快削くんの熱伝導率は約6.64(W/m・K)であり、クロムの約1/10、ニッケルの約7/100、銅の約17/1000と非常に低い値を示しています。また優れた切削加工性を有しており、機械加工でのバリなどんも発生しずらい物性も兼ね備えています。

POINT(要約)

金型による樹脂成型において、金型としての冷却効率が高すぎると樹脂が決まった形状で固まらない(部分的に早く固まってしまう)ことがあります。そこで「快削くん」のように熱伝導率が低い表面処理を選定することで、樹脂の固まるムラをなくし、均一な樹脂成型が可能となります。