Before (改善前)

ロールの新作及び再生に関わらず、ロール表面に対して各種めっき処理を施す前にグラインダー研磨及びバフ研磨で整面をしますが、その際にめっき処理後の不具合(ピット、ピンホール、密着不良など)の原因となる材料欠陥の有無を確認します(目視検査で確認しております)。

なお、材料欠陥とは、ミクロ的に内在する不純物(介在物)や組成の偏りなどを指します。代表的な材料欠陥の拡大写真を載せておりますが、表面状態が良くないロールの場合、数えきれないほどの材料欠陥が確認されるケースもあります。また、表面積が大きい大型ドラムにこのような材料欠陥が多数存在すると大変なことになります。

V

After (改善後)

材料欠陥の補修方法については、いくつか手段がございますが、当社で採用している一般的な補修方法として、Tig補修が挙げられます。Tig補修後の拡大写真を載せておりますが、補修手順としまして、材料欠陥部をリューターなどで除去し、補修しやすい形状にしてからTig補修をいたします。

なお、製紙用ドライヤーロールの場合、セル材質に鋳物が多々採用されておりますが、鋳物特有の巣が表層に存在する場合があります。鋳物の巣を補修する為にTig補修を採用したいところですが、鋳物の場合は高炭素鋼の部類となりますので、Tig補修をすると補修部分が割れてしまいます。

従いまして、鋳物の巣を補修する場合はピン打ちと呼ばれる手法で埋金処理をいたします。

POINT(要約)

材料欠陥に対する補修方法として、Tig補修について紹介しましたが、Tig補修のメリットは、短時間の工数で補修が出来るという点です。
しかし、材料欠陥の個数が数百個~数千個レベルで多数存在する場合は、目視検査で確認できない微小な材料欠陥があると予測される為、Tig補修ではなく、ブラスト加工やNiめっき厚付け(300μm以上)でカバーリングするケースもあります。