Before (改善前)

印刷機業界ではインクの搬送や糊の定量供給などの目的でロール表面に彫刻を施した「彫刻ロール」が使用されています。
彫刻加工の方法は色々ありますが、ロール本体(鉄)か銅めっきを施した面を加工するのが一般的です。
その中で鉄上の彫刻加工については、彫刻を施した駒を専用の加工機に取り付けてロールへ転写させます。彫刻形状は「ポジティブ形」「ネガティブ形」問わず対応可能です(様々なメッシュに対応可能)。ただ彫刻駒自体も鉄材でできており、鉄ロールに押し当てて彫刻模様を転写させるには非常に大きな負荷をかける必要があります。その強い負荷によって、ロール本体を変形させてしまう場合もあります。
ロールの変形(曲がり)が大きいと後工程の曲がり直し工数が莫大にかかり、コストに影響します。また、負荷が大きいことで駒自体の寿命も低下してしまいます

V

After (改善後)

彫刻作業において、生産を安定化させるにはロールの曲がりをいかに少なくするかにかかっています。

曲がり直しが不十分だった場合、実際に設備を稼働させた際に不良を発生させる場合もありますし、最悪の場合ロールを1から作り直す必要もあります。
一番ムダな作業となる彫刻後の曲がり直しを少しでも低減化させるために、彫刻駒の転写面を狭めることでより少ない負荷で彫刻転写させることに成功した(凸部Aを凸部Bに変更)。ロールにかかる負荷が減少することで、彫刻加工後のロールの変形量も減少するに至りました。

しかし従来の彫刻駒と転写面を変更したため、従来と異なる彫刻になっては意味がありません。新規面の変更に伴い社内ロールを使用して彫刻面の評価を入念に実施しました(転写漏れはないか、転写深さ不足箇所はないかなど)。

彫刻作業において、生産を安定化させるにはロールの曲がりをいかに少なくするかにかかっています。曲がり直しが不十分だった場合、実際に設備を稼働させた際に不良を発生させる場合もありますし、最悪の場合ロールを1から作り直す必要もあります。

POINT(要約)

従来の加工方法を1から見直し彫刻駒の転写面を狭めた結果、彫刻後の曲がり量は低減した。この効果は曲がり直しの加工時間を短縮させただけでなく、品質の安定化にもつつながっています。

今後のさらなる試みとして、彫刻駒の表面に別途コーティングを施すことで駒の高寿命化にトライし、更なる品質安定化に取り組んでいます。