Before (改善前)

連続塗工パートにおいて、ウェブ上にコート液を塗布する役割のロール(サージェントクロムめっき仕様)の表面が数ヶ月の使用期間で荒れしまいました。表面を拡大観察すると、サージェントクロムめっき皮膜のごく表層部が部分的に腐食していることがわかりました。
このコート液は加水分解を起こすと腐食性のハロゲン化合物を生成するということがわかりました。よって、この腐食の発生メカニズムとして、サージェントクロムめっき皮膜の比較的大きく深いクラック内に残っていた水分とコート液とが反応したことによるものが推定要因であると判断をいたしました。

V

After (改善後)

硬質クロムめっきの皮膜には元々クラックが存在しますが、その中でも一般的なサージェントクロムめっきの皮膜のクラックは大きくて深いものとなります。

このことが起因して腐食が発生したと推定される為、クラックサイズの比較的小さな「R62クロムめっき」に仕様変更をして、且つ、クラック内に残存していた水分を加熱処理により除去したことでクラック内に残存する水分とコート液との加水分解作用を抑え、腐食の発生を抑制いたしました。

POINT(要約)

ご使用されるロール及びその他部材に被覆されている硬質クロムめっきですが、マイクロクラックの状況と研磨完了後の加熱処理の有無により、お客様の使用条件によっては、サージェントクロムめっきとR62クロムめっきでは寿命の差が生じる場合がございます。

どちらのクロムめっきを選定すればよいか判断が難しい場合、テストピース等を御支給させていただきますので、お気軽にお申し付けください。