Before (改善前)

ロールを設計する場合、お客様での運転条件(回転数、搬送物の種類など)をヒヤリングさせていただき実施します。
運転条件にマッチングしていることは当然として、機械的強度を満たしている必要があります。設計するロールの構造計算を行い、各部位の強度が使用条件下において十分な強度が確保できている事を確認していきます。
強度を確保するためにロールの材質を選定・検討しますが、表面処理が必要な部位については表面処理の下地の条件に合った材料の選定を行っていきます。
各種構造計算結果はお客様の要求に応じてロール図面と合わせてロール設計計算書として提出を行っております。
またロールの動的な特性を示す動バランス量、撓み限界量、回転共振点の算出等についても十分な設計検討を行います。

V

After (改善後)

前述の通り、お客様での運転条件に合ったロール設計をしていますが、構造計算の一助としてシミュレーション解析(CAE解析)を実施するようになりました。

模擬的にコンピューター上でロール設計を行い、ロール強度(自重負荷や強制負荷による強度)をコンピュータで計算する事により可視化する事が可能となり、構造計算を再確認するとともに、強度的に問題が無いかを合わせて確認する事が可能となりました。また通常の構造計算では再現が難しい2重管構造ロール等については、ロール外部と内部の挙動(外セル撓み量、中セル撓み量等)を確認する事も可能です。添付の図面はその1例ではありますが、シュミレーションの結果、ロールのセルと軸をつなぐ溶接部分に予想している以上の応力が発生することがわかり、溶接構造を変更することになりました。

上記シミュレーション解析を使用する事で、再設計による設計工程ロスを低減させることが可能となり、トータル的な納期短縮につなげることができます。また実際に完成したロールが運転中にトラブルを引き起こす可能性、リスクを少しでも抑えることが可能となります。

POINT(要約)

ロールを1から設計する場合、お客様で使用する運転条件をまず確認させていただきます。その条件をもとにロールの設計(強度計算など)を実施しますが、机上の計算のみでは確認できない意外な落とし穴もあったりします。

シュミレーション解析を実施することで、当初の設計値と差異がないかを確認でき、また通常の設計ではわかりずらい項目も可視化することができます。

問題が発生してからでは遅いので、1番最初の設計の段階でトラブルの芽を少しでも摘んでおくことが重要です。