コストが重視される産業用の大型機械部品

設計・製作する機械部品が、付帯設備や生産活動に直接かかわることのない部品であった場合、そのある程度の精度や耐久性を満たせば、機械部品が重要視されるポイントはコストです。これは生産活動に関係が少ないため、機械部品を交換する際に生産企業として、生産活動の停止が起こり難く、仮に機械部品が機能を果たさなくなったとしても、生産へのダメージが低くなるからです。

 

コスト以上に機能性が重視される産業用の大型機械部品

一方で、コストをかけてでも精度や耐久性や特別な特性(耐熱性や耐摩耗性、シール性、潤滑性など)を付加する機械部品があります。このような機構部品は、損傷や欠損が発生すると生産活動に大きく影響を与える特徴があります。例えば、フィルムを送る搬送用の機械部品であるロールが損傷すると、全長が数メートルにもなる生産ライン全体へ影響を及ぼし、製品の品質や生産性の低下に直結します。そのため、このような機械部品は、設計段階から形状以外に機能付加まで考慮した工夫がされます。先ほどのフィルムを搬送するロールの場合は、製品とロール表面に空気が入ることで搬送品質の低下(空気が入ると搬送方向にズレが発生する)を防止するために、ロールのグリップ性を向上させるめっき加工を施すことが一般的です。また、このようなめっき加工では、フィルムをグリップした上で小さな気泡でも回転するロール表面から自然と逃げるような表面処理加工がより効果的です。特殊な表面処理を機械加工後に実施することは、製作コストの増加につながりますが、生産ラインの安定稼働を実現するため、生産ラインの停止や生産設備の突発(突然の予期せず発生するトラブル)を防止できることを考えると、多少の費用の増加につながっても十分に元がとれるのです。

機能性を付加した大型機械部品の事例

機械加工を行った後に、特殊な機能を付加するための表面処理を施したロール(機械部品)。